特定非営利活動法人
チャイルド・ケモ・ハウス

2018年度採択者

インタビュー

ガンになっても笑顔で育つ

小児がんをはじめ、医療的ケアが必要な子供たちが家で過ごしているかのように安心して過ごせる場所「チャイルド・ケモ・ハウス」。大きな天窓から太陽の光がそそぐ施設には、病気のお子さまとご家族が暮らせる居住スペースと診療所が整備されています。医療従事者がすぐそばにいる安心感と重い病気でも家族と一緒に過ごすことができるアットホームな空間を提供しています。今回は医師でもある事務局長の楠木重範さんと副理事長の田村亜紀子さんにお話を伺いました。

プロジェクトが目指すこと

ー この事業を始めたきっかけは何でしょうか?

楠木医師
私はもともと、大学病院で小児科医として働き、特に小児がんの治療にあたっていました。その中で、医療面や療養環境などのさまざまな課題に直面し、医療者にとっても、患者とそのご家族にとっても、よりよい医療とは何かを考え続けた結果、2005年からこの活動をはじめました。

ー 主な活動内容を教えてください。

楠木医師
「ガンになっても笑顔で育つ」をスローガンに活動しています。具体的には神戸ポートアイランドの地で「チャイルド・ケモ・ハウス」という施設を運営しています。家族と子供が一緒に暮らしながら療養できるという日本で初めての施設です。その他、小児がんなどの小児慢性特定疾病についての正しい知識を広めるため、さまざまなイベントを開催しています。

ターニングポイント

ー 皆さんの活動のターニングポイントになったきっかけがあれば、教えてください。

楠木医師
大学病院で働いていた頃、ある中学生の女の子が入院していました。「病気でも家族みんなで過ごしたい。」と言っていたのですが、入院生活の中ではそれが実現できませんでした。しかし、子供にとって家族の力は前向きに治療をする上で非常に重要です。何とか家族と過ごす時間を持ちながら、治療することはできないかと強く思ったことがターニングポイントです。

ー 活動をする上で大切にしていることがあれば教えてください。

楠木医師
病気で治療をしている子供は、決して“特別”という訳ではありません。普通の子供がたまたま病気になっただけですので、その一人一人の性格や個性、好きなことなどに、いつも関心をもって接するようにしています。また、子供には実は結構、強い面もあるのです。ですから、私たちもその「強さ」を信じて、接していきたいと思っています。

田村副理事長
スタッフの専門分野がそれぞれ違いますので、患者さまを見る角度が、各スタッフで違ってきます。しかし、「支援したい」という想いは一緒ですので、みんな同じ想いでゴールを目指せるように、心がけています。

ー スタッフの皆さんはどのような方々がいらっしゃいますか?

田村副理事長
医師、看護師、臨床心理士、保育士、デザイナー、事務の方々などです。また、たくさんのボランディアの方々がこの活動を支え、施設の清掃なども手伝ってくださっています。

「私」の世界を変えるもの

ー コミュニケーションツール「ピッケのつくるえほん」とは?

田村副理事長
重い病気をもつお子さまやそのご兄弟を対象に、iPadで「ピッケ」というアプリを使った絵本づくりを実施しています。子供たちの表現力を豊かにするとともに、普段、お子さまが溜め込んでいるストレスや、親御さまの不安などを伺う貴重なコミュニケーションの場として、医療を超えたサポートをしていきたいと思います。今回の支援によって、より多くのご家族に体験していただくことができました。

ー 現在の課題はありますか?

楠木医師
社会から見ると、子供は「元気に育って当たり前」という考え方がベースにあると思います。ガンなどの大きな病気になった子供たちに対し、真剣に向き合っていないと感じることがあります。そこのギャップを埋めていくことが課題です。

未来につながる力に

ー 今後の目標について教えてください。

楠木医師
「子供がガンになっても笑顔で育てる社会」をつくること。また、私たちが目指すのは「家族ごと支える医療」つまり、病気になった患者さまだけではなく、家族も支えること。そういった医療が広まることが、私たちの目標です。

楠木重範さん(事務局長・医師)と田村亜紀子さん(副理事長・患児の家族)

採択者インタビュー

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