競泳(パラスポーツ)
2021年度採択者
普段は杖と車いすで生活しています。陸上では階段や段差により自由に動くことができないのですが、水中では浮力が助けてくれるので、自分の意志で行きたいところに行くことができます。この感覚が最高に楽しく、うれしかったので水泳を始めました。
健常者の競泳とは違い、障がいの種類や程度、泳法により、さまざまなクラスに分かれて競技が行われます※。パラ競泳の選手は、それぞれの障がいを武器に、自分に残された身体の機能を最大限に発揮して、自分なりの泳ぎを追求し、戦う楽しさがあります。
まさに“人間の可能性への挑戦”がパラ競泳の醍醐味であり、魅力です。
※クラス分け:障がいの影響を最小限に抑え、競技パフォーマンスの優劣こそが勝敗を決めることを確証するために設けられた競技クラスに、競技者をグループ分けすること。(一般社団法人日本パラ水泳連盟. J-FCSクラス分け規則,2023)肢体不自由、低身長などの障がいでは,1~10 のクラス(SB(平泳ぎ)は1~9のクラス)に分かれ、数字が小さいほど障がいが重度であることを示す。
近藤薫さんのクラス:S7(自由形・背泳ぎ・バタフライ)、SB6(平泳ぎ)、SM7(個人メドレー)
背中や肩甲骨など、上半身全体をダイナミックかつ効率的に使った大きなストロークが僕の強みですが、上半身に大きな負荷がかかることで怪我のリスクも高まります。
そのため、週2回ウエイトトレーニングを行い、競技力とフィジカルの強化に努めています。
競技活動だけでなく、小学校での授業や講演などボランティア活動にも積極的に取り組んでいます。車いすだからという理由で多くのつらい経験もしましたが、それと同時にたくさんの人の優しさにも触れることができました。
諦めず目標を持って努力することで“必ず道は開ける”。
多くの子供たちに自分の経験や想いを伝え、自分の姿が誰かの希望の光になれば良いなと思っています。
小学4年生のころに障がいが治らないことを知り、本当に生きる意味を見失って、落ち込んだ時期もありました。そんなときに、ありのままの自分を自由に表現できる場所、生きる意味に気づかせてくれたのがパラ競泳であり、パラ競泳との出会いそのものが、僕の人生を変えた瞬間でした。2017年の「ジャパンパラ水泳競技大会」で生まれて初めて銀メダルを獲りました。それまではただ楽しくて水泳を続けていましたが、この大舞台での経験をきっかけに世界での活躍を目指し、競技として取り組むことを決意しました。
パラリンピックへ出場し、メダルを獲得することです。また、これまで自分を支えてきてくださった多くの方へ泳ぐ姿で感謝を伝え、活躍する姿で恩返しをしていきたいです。