陸上 トラック 短距離(パラスポーツ)
2018年度採択者
昨今、勢いを増す“パラスポーツ”。年々認知度も高まり、多くのパラアスリートの活躍を目にします。
「障がい」といっても腕や脚などの身体、または視覚や知的発達など、障がいの種類はさまざまで、
同じ障がいであってもその程度は人によって異なります。
パラスポーツでは、個々の障がいが結果に影響しないよう平等に競い合うため、
障がいごとにクラスを細かく分け、競技を行っています。
今回は、パラ陸上競技の「視覚障がい」のクラスで活躍される鈴木海人選手にお話を伺いました。
僕はパラ陸上競技の「視覚障害T12クラス※」で短距離(100m)と走り幅跳びを行っています。
※視覚障がいの重度によって以下の3つのクラスに分けられる。
①T/F11:全盲クラス・②T/F12クラス:重度弱視クラス・③T/F13クラス:軽度弱視クラス
鈴木海人さんが所属する「②T/F12クラス」では、必要な選手はアシスタントとともに競技することが可能。
陸上競技を始めたのは中学1年生のときです。当時は陸上部に友人が多く、競技として取り組むというわけではなく、ただ陸上を楽しむことだけを考えていました。その後、高校2年生のときに偶然にも大きな大会が東京都内で行われ、「近くで大会があるから出てみよう!」という軽い気持ちで大会に出場したことをきっかけに徐々に競技としての陸上にのめりこんでいきました。
障がいの程度によってクラス分けされているため、同じ競技であっても、全く別の競技のように感じられるところだと思います。 視覚障がいクラスは、方向やゴールまでの距離などを口頭で指示し、選手を誘導してくれる「ガイドランナー(伴走者)」の存在が大きなポイントで、選手とガイドランナーとの息の合ったコンビネーションが見所のひとつです。コンビネーションを高めるためにはまずはお互いをよく知り、信頼関係を築くことが大切だと思っています。
2017年にドバイで開催された「アジアユースパラ競技大会」に出場し、100mと走り幅跳びの2種目で金メダルを獲得しました。これが僕のターニングポイントです。パラ陸上競技に出会う前は自身に対してネガティブな思考になることがあったのですが、陸上に本気で打ち込み、努力が結果に結びつき、何事にもポジティブに考えられるようになってきました。
中学、高校時代は陸上部で活動していました。2019年に大学に進学し、現在はガイドランナー兼コーチとのマンツーマンによる練習に励んでいます。普段は1週間に競技場で3日、トレーニングジムで1日の練習を行っており、2020年2月には海外への遠征を予定しています。
短距離ではストライド(走る歩幅)を上げること、走り幅跳びでは踏み切りがそれぞれ課題です。技術面の向上はもちろんのこと、全身の柔軟性を高める必要があると考えています。
僕は陸上以外の趣味の時間も大切にしています。アニメや映画をみたり。ちなみに、アニメは超人たちが活躍する異能力系のものが好きですね(笑)レゴブロックも好きで、集中して作品をつくることがストレス発散にもなっています。
僕は結構気分屋なところがあるのですが、気持ちが少し沈んでいるときでも練習に行って西田さんの顔を見ると陸上のスイッチがカチッと入り、自然と練習に集中できるので、すごく不思議。西田さんは僕の力を引き出してくれる信頼できるパートナーです。
多くの国際大会を経験し、最終的にはパラリンピックに出場してメダルを獲得することです。そして、大きな舞台で観客を魅了するような最高のパフォーマンスを発揮したいと思ってます。これが「選手」としての目標です。またパラスポーツをもっと盛り上げるために、たくさんの方にパラスポーツの魅力を伝えていきたい。今、大学で小説を書く勉強をしているので、ゆくゆくはパラスポーツを題材にした小説を書いてみたいですね。